日本細菌学雑誌
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リポソームを用いた補体依存性免疫溶解反応によるMycoplasma pneumoniae抗体の測定
元田 昭策
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1986 年 41 巻 5 号 p. 757-765

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抄録

人工マイクロカプセルである多重層リポソームを用い,補体依存性免疫溶解反応によるヒト血清中のMycoplasma pneumoniae (M. pneumoniae)に対する抗体量を測定する新しいイムノアッセイ(immunoassay)法を検討した。クロロホルム・メタノールで抽出したM. pneumoniaeの脂質抗原をリポソーム膜に組み込ませ,マーカーとしてβ-ガラクトシダーゼを封入したリポソームを抗体ならびに補体と反応させると,抗原抗体反応に基づく補体の活性化によりリポソーム膜は傷害を受け,リポソーム内部からβ-ガラクトシダーゼが流出し,この酵素活性はM. pneumoniae抗体量に比例することが確認された。
患者血清について,リポソームを用いた本補体依存性免疫溶解反応と従来の補体結合反応とを比較したところ,良く相関する結果が得られた。
リポソームを用いた補体依存性免疫溶解反応は簡便にして迅速かつ定量性の高い測定法であることを確認することができた。

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