日本細菌学雑誌
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Q熱とCoxiella burnetii
小田 紘吉家 清貴
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1995 年 50 巻 3 号 p. 703-715

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抄録

Q熱はリケッチアの一種であるCoxiella burnetiiによって起こる人獣共通感染症である。本疾患は世界中に分布しているが,これまでわが国ではほとんど関心がはらわれてこなかった。1988年に国内でQ熱の患者からC.burnetiiが分離されたのを機に血清疫学的調査が開始され,わが国にもQ熱が存在していることを示す証拠が蓄積されてきた。したがって,今後はわが国においても,熱性疾患の診断に際しては本疾患を鑑別診断の一つにあげることが必要である。
一方,C.burnetiiは宿主・微生物相互作用を考えるうえで興味深い多くの生物学的特徴を有している。欧米では活発な研究が行われているが,なお未解決の問題が数多く残されている。
このような状況をふまえ,本稿ではC.burnetiiの特徴とQ熱のアウトライン,およびQ熱の微生物学的診断を中心に述べる。

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