日本細菌学雑誌
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細菌性メタロプロテアーゼ
岡部 昭延松下 治南 純三朗
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1995 年 50 巻 4 号 p. 971-989

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抄録

亜鉛結合性メタロプロテアーゼの研究は近年めざましい進歩を遂げた。構造遺伝子の塩基配列の情報からメタロプロテアーゼが予測され,メタロプロテアーゼとしての機能が浮き彫りにされてきたことが飛躍的な発展の原動力となっている。本酵素は原核生物,真核生物いずれにも幅広く存在している。構成タンパク,機能タンパクを特異的に分解する真核生物のメタロプロテアーゼはそれぞれの個体において重要な生理的役割を果たしている。一方細菌の産生するメタロプロテアーゼは宿主の構成タンパク,あるいは感染防御上重要なタンパクを分解し,病原因子として働くものが多い。その基質特異性は非常に厳密なものもあるが,真核生物のものに比べると一般にかなり幅広い。このことは病原因子としてはむしろ適していると考えられる。しかし,細菌自身の生命現象にとって重要な触媒作用を有する酵素が存在している可能性もある。今後の細菌性メタロプロテアーゼ研究の進展にとって多面的な視点とアプローチが必要と考えられる。

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