1999 年 54 巻 4 号 p. 763-772
ヒトにおいて,敗血症あるいは創傷感染症の原因菌となっているVibrio vulnificusは,プロテアーゼ(V. vulnificus protease: VVP)を分泌している。本研究では,まずVVPの生化学的性状について検討した。そして,この酵素が亜鉛イオンを補因子とする金属プロテアーゼであること,また,亜鉛イオンの結合様式や酵素作用の基質特異性などからサーモリシンファミリーに属することを明らかにした。次に,in vitroならびにin vivoにおいて,VVPの病原因子としての作用を検討した。その結果,VVPによって種々の生体内蛋白質が活性化もしくは不活性化されること,そして生体の恒常性維持に必須であるプロテアーゼとその阻害因子の平衡状態が打ち破られ,生体が病的状態に陥ることが示された。しかしながら,血漿中に存在するα-マクログロブリンによって,VVPは速やかに不活性化された。