日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
細胞内寄生菌感染に対するDNA(遺伝子)ワクチン
小出 幸夫永田 年内嶋 雅人吉田 篤司青枝 大貴
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 54 巻 4 号 p. 773-793

詳細
抄録

DNAワクチンは液性免疫のみならず,これまで生ワクチンが必須であった細胞性免疫をも強力に誘導できることから注目を浴びている。DNAワクチンによる感作の機序が明らかになりつつあり,抗原提示細胞(樹状細胞)やプラスミド自身が持つCpGモチーフが免疫応答に重要な役割を果たすことが示された。また,接種法としては,遺伝子銃法が筋注法に比して免役効率,再現性ともに優れていることが判明した。細菌に対するDNAワクチンの作製にあたっては,特にコドンを哺乳類のものに適合させ,翻訳効率を高める必要がある。細菌の中でも細胞内寄生菌感染の防御には細胞性免疫が必要であるため,DNAワクチンの重要な研究対象となる。事実,結核に対するDNAワクチンの研究報告は極めて多い。しかし,細胞内寄生菌に対して有効な細胞性免疫は,病原体により異なり,CTLを必要とするものと1型ヘルパーT細胞を必要とするものに分かれる。我々は細胞内寄生菌のモデルとして,両方の細胞性免疫が感染防御に関与すると考えられるリステリアを用い,CTL誘導型およびヘルパーT細胞誘導型DNAワクチンを作製することに成功した。

著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top