日本細菌学雑誌
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尿路病原性大腸菌における病原因子の研究
山本 新吾
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2003 年 58 巻 2 号 p. 431-439

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抄録

大腸菌は単純性尿路感染症のなかでもっとも頻繁に同定される病原菌である。本研究は尿路病原性大腸菌における病原因子を研究することで, 尿路感染症の発症のメカニズムを解明し, 尿路感染症を起因とする敗血症や反復性尿路感染症の治療へ手がかりを見い出すこと, またこれら尿路感染症の診断に有用なツールの開発を目標とし, 以下の事項を報告した。
1) P線毛, S線毛, Afa I, エアロバクチン, ヘモリジン, CNF1の各病原因子は健常人由来大腸菌と比較して有意に各疾患由来の尿路病原性大腸菌に高頻度に認めた。2) これらの病原因子を一度に調べる Multiplex PCRの開発により, 大量の尿路病原性大腸菌株の病原因子の保有の有無が高精度かつ簡便に調べることができるようになった。3)「直腸-会陰-尿道仮説」を証明し, 多くの病原因子を保有した尿路病原性大腸菌株が直腸に優位に存在することが尿路感染症の危険因子のひとつであることを示した。4) 新しい尿路病原因子 uropathogenic specific protein (USP) を発見し, USPが尿路感染症の成立に強く関与していることを示唆した。また, USPおよびその下流でモザイクを構成するOrfU1-3遺伝子を含む pathogenic island に5つの variants が存在することを明らかにした。

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