日本細菌学雑誌
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宿主抗菌性ペプチドの発現誘導機序およびその活性に関する研究
和田 昭裕
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58 巻 (2003) 4 号 p. 595-602

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抄録

細菌感染に対するさまざまな防御機構をヒトは持っているが, 無脊椎動物を含めた一般的かつ単純な細菌感染防御機構として, 抗菌性ペプチドの発現により感染を防御する機構が知られている。抗菌性ペプチドであるディフェンシンは大きなファミリーを形成し, 構造上の違いからα-ディフェンシンとβ-ディフェンシンに分けられる。このうち, α-ディフェンシンの1種であるHNP-1は, 宿主のもつモノADPリボシル化酵素 (ART-1) により14番目のアルギニン残基がADPリボシル化されて, 抗菌活性がほとんど消失することを見出した。β-ディフェンシンの1種であるhBD-2は, ピロリ菌感染, サルモネラ菌感染において, NF-κBを介して宿主細胞に発現誘導が引き起こされることを証明した。ピロリ菌感染においては, cag病原性遺伝子群を持つ菌によるNF-κBの活性化が重要であった。一方, サルモネラ菌においては, FliC (フラジェリン) が, 宿主の細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こし, NF-κBを活性化し, hBD-2の発現誘導に関わることを明らかにした。

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