育種学雑誌
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窒素,燐酸,加里が小麦における幼穂の分化並びに発育におよぼす影響
清水 正治
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1960 年 10 巻 3 号 p. 179-187

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抄録
(1)小麦品種“さつき”を用い,培養条件を変え三要素の量及び組合せの相違が小麦の生育及び所謂幼穂の分化並びに発育におよぼす影響を細胞-組織学的に究明した。(2)小麦のshoot apexの発育を,その外部形態並びに内部構造の変化に基き3つの発育段階に大別した。(3)shoot apexの各発育段階に対しN,P,Kはそれぞれ異なつた作用性を示し,なかでもNとPとは極めて対照的な作用性をもつことが明らかとなつた。(4)Nは第1段階から第2段階への移行を促進するが,第2段階から第3段階への転移を抑制する。一方Pはこの第2段階から第3段階への転移に極めて重要な役割を果し,これを欠くとこの過程が著しく遅滞する。(5)幼穂分化期,出穂期の早晩は上記各段階に対する三要素のそれぞれの作用の総合的な結果とみるべきである。(6)本実験の結果は基本的には水稲について得られた結果とほぼ同様の傾向にある。
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