抄録
てん菜の根重型と糖分型の各3品種を用いて、7月、8月、9月、10月の4段階の生育時期に、根重、根径、根長およびブリックスの4形質を調査し、各形質の遺伝パラメーターの生育時期に伴う変化を調べた。その結果、分散分析法より推定された遺伝分散をもとに計算された遺伝力および遺伝変異係数は、根重、根径およびブリックスの各形質において、生育が進むに従って一般に減少した。しかし、根長では逆に増加の傾向が観察された。根重と根径における遺伝パラメーターの値の減少は、主に根重型と糖分型の各型内の遺伝パラメーターの値の生育に伴う減少によっている。また根長における遺伝変異の増加は、主に根重型と糖分型の各型間の遺伝パラメーターの値の増加によっている。それ故、根重型、あるいは糖分型のいづれか一方のみで構成されている遺伝変異の小さい集団における根重の選抜は、とくに生育初期に行なう方が有効である。逆に、根重型と糖分型の両方含んでいるような大きい遺伝変異を持っている集団における根長の選抜はとくに、生育後期に行なう方が有効である。