育種学雑誌
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自殖性作物の量的形質に関する突然変異育種2世代目における栽植個体数推定のための理論的基礎
米沢 勝衛一井 真比古山県 弘忠
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1970 年 20 巻 6 号 p. 351-358

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抄録
量的形質が育種対象であるときのX2-個体数を推定するための諸式を、3つの異なる選抜モデルについて、理論的に求めた。これらの理論式から、以下に述べるような一般的な知見が得られた。(1)育種形質に関与する遺伝子座間に連鎖がなければ、ある選抜強度のもとで、X2-個体数は大まかにいって(^^L1__j)(1/2m)jに反比例すると言える。ここに、mは遺伝子あたりの人為突然変異率を、またL1およびjはそれぞれ、育種素材の劣悪遺伝子座の総数およびそのうちで突然変異処理によって一挙に改良すべき遺伝子座の数を示す。このことは。X2-個体数が人為突然変異率および改良すべき遺伝子座数に強く影響されることを意味する。特に、劣悪遺伝子の突然変異率が極めて低かったり、いくつかの遺伝子座を同時に改良しようとする場合には、法外に多くのX2-個体数が必要であろう。(2)選抜強度を高めて選抜効果をあげようとすれぼ、それだけ多くのX2-個体が必要である。(3)突然変異個体を識別するための対象個体あるいは区の数を増すほど、X2-個体は少なくて済む。しかしながら、両者の関係は、育種環境の均一度や育種形質の形質発現安定度など表わすて大きく変わることが考えられ、簡明な理論式でによつことは困難なようである。本報中の諸式を用いて数値計算を行なった結果、より具体的な知見がいくつか得られた。それらは次報で述べることにする。
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