育種学雑誌
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サトイモ(Colocasia esculenta SCHOTT)およびハスイモ(C.gigantea HooK)日本産品種の形態形質およびアイソザイムの変異
谷本 忠芳松本 豪
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1986 年 36 巻 2 号 p. 100-111

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抄録

我が国のサトイモ38系統とハスイモ3系統の形態形質(葉に関する17形質および芋に関する5形質),パーオキシターゼとエステラーゼのアイソザイムパターンおよび染色体数を調査した.そして,形態形質およびアイソザイムパターンに基いて,それぞれクラスター分析を行い,熊沢ら(1956)の品種分類と比較した. その結果,形態形質およびアイソザイムバターンについてはサトイモの諸系統間に大きな変異が認められたが,ハスイモの系統商にはほとんど変異が認められなかった.アイソザイムパターンの類似性に基いて系統を分類したところ,パーオキシターゼに関する結果とエステラーゼに関する結果は異たった.染色体数の観察の結果,サトイモには2倍体(2n=28)と3倍体(2n=42)が,ハスイモには2倍体(2n=・28)がそれぞれ認められた. 形態形質に基くクラスター分析によって得られた小クラスターは,熊沢ら(1956)の品種群に対応せず,大きなクラスターについても,熊沢らの品種に対応したかった.一方,アイソザイムパターンに基くクラスター分析の結果,数系統の例外を除いて熊沢らの品種群に対応する小クラスターが形成された.しかし,より大きなクラスターは熊沢らの変種に対応しなかった.また,両クラスター分析によってサトイモの諸系統を2倍体と3倍体に分けることができなかった.

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