育種学雑誌
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日本のイネ品種の出穂開花期における耐冷性とその地域的特徴
細井 徳夫
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39 巻 (1989) 4 号 p. 481-494

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抄録

人工光環境調節装置と水耕法を利用し,生育と生理状態の揃ったイネ品種の供試材料を,播種からの環境を一定に制御した条件にて養成した.出穂日から6段階の気温で20日間弱日射冷温処理を行う方法により,出穂開花期冷害が発生しない各品種の限界温度(稔実下限溢度:出穂からの冷温処理で完全米比率80%の稔実が可能な低温限界)を調査した.日本の水稲77品種の稔実下限温度は17.5℃から23.5℃≦を示し,6℃以上の品種間差異が認められた.稔実下限温度の低い品種はそれが高い品種に比較し冷害時における完全米比率が相対的に高く,この温度の低い品種ほど出穂開花期において強い耐冷性を示した.短い検定期間で簡便な精度の高い出穂開花期の耐冷惟検定法として開発された本手法を用い,品種の稔実下限温度を検定基準として,日本稲77品種の出穂開花期耐冷性を17.5℃(極強)品種から23.5℃≦(極弱)品種まで7階級に区分した.出穂開花期耐冷性の強い品種の多くは東北地域に分布し,本地域の在来種に極強品種が認められた.本耐冷性の弱い品種の多くは西南暖地に分布していた.北海道品種群は品種間変異が特異的に小さく,やや強からやや弱の範囲であった.

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