育種学雑誌
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トウモロコシ,トウジシビエおよびモロコシとの交雑を利用する六倍体コムギの複相半数体作出の頻度の比較
Masanori InagakiAbdul Mujeeb-Kazi
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1995 年 45 巻 2 号 p. 157-161

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抄録

六倍体コムギ(2n=6x=42)の3品種(Chinese Spring,農林61号およびSieteCerros)を母親にトウモロコシ,トウジシビエおよびモロコシの各2系統を花粉親として交雑した.交雑により得られたコムギ未熟胚を無菌培養し植物体に再生させ,その染色体を調べた.供試したコムギ3品種はトウモロコシ2系統との交雑で胚を12.6%から26.8%の頻度で形成した.トウジシビエとの交雑においては,胚形成の頻度は0.8%から39.4%まででコムギ品種およびトウジシビエ系統により大きな差異がみられた.モロコシとの交雑では,Siete Cer・osは胚を形成せず,コムギ品種により胚形成の頻度は大きく異なった.Chinese Springおよび農林61号と3種の花粉親との交雑から得られた胚について,胚の大きさと植物体再生の頻度との関係をみると,トウモロコシとの交雑から得られた胚はトウジシビエおよびモロコシとの交雑から得られた胚に比べて大きかったが,やや低い植物体再生の頻度を示した.合計377個体の再生植物体の染色体を調査した結果,2個体の異数半数体(染色体数20および22)と2個体の二倍体(染色体数42)を除き,他はすべて複相半数体(染色体数3力=21)であった.以上から,トウモロコシとの交雑を利用する六倍体コムギの複相半数体作出の頻度はトウジシビエあるいはモロコシとの交雑を利用する方法よりも安定していると考えられた.

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