育種学雑誌
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籾殻タンパク質から見出されたイネの新しいキチナーゼとその遺伝子座
中崎 鉄也冨本 佳照池橋 宏神山 康夫矢野 昌裕山本 公子佐々木 卓治
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1997 年 47 巻 4 号 p. 363-369

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抄録
キチナーゼは,病原体に対する植物生体防御機構の中の重要な酵素であると考えられている。籾殻中のタンパク質を2次元電気泳動法によって調査したところ,既知のキチナーゼの酵素活性領域と高い相同性を示すタンパク質(RHP)が検出された。本報では,RHPの発現,これと同一のアミノ酸配列を持つcDNAの部分配列から推定されるタンパク質の構造,およびRFLP分析によって決定された座乗位置,について報告する。イネにおいては,豊熟期の高温によって休眠が誘導されることが知られており(池橋,1972),高温区(ガラス室内)と低温区(戸外)で,休眠関連タンパク質の発現量が異なることが期待される。そこで,これら処理区の籾殻中のタンパク質を比較したところ,高温区で顕著に認められるタンパク質が検出された。このタンパク質のN-末端,16残基のアミノ酸配列は,既知のキチナーゼの活性部位のN-末端側の配列と高い相同性を持っていることが明らかになった。また,塩基配列のデータベースから,上記16残基のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を持つcDNAクロ-ン(SS2594)が見出され,このcDNAが由来する遺伝子は,これまでイネで知られているキチナーゼとは異なるユニークな一次構造を持つキチナーゼをコードしていることが判明した。RFLP分析の結果,SS2594の遺伝子(Chi-4)は,第4染色体上に座乗し(S12594),RHPはこの遺伝子座に由来することが推定された。
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