日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
抗うつ薬治療の今日的話題
工藤 喬
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 25 巻 3 号 p. 162-165

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抄録
比較的副作用の少ない SSRI あるいは SNRI はうつ病治療の第一選択藥として今日広く使用されているが,新たな有害作用などが問題となっている。そのうちの賦活症候群やラピッドサイクリング/混合病相などは,患者の bipolarity を慎重に見極め,安易な抗うつ薬使用を避けることが肝要である。また,所謂「新型うつ病」の中には非定型うつ病といった生物学的に規定された一群があり,モノアミン全体の調整が必要とされると考えられる。このような状況の中,新規抗うつ薬であるデュロキセチンは SNRI であり,前頭前野ではモノアミン全体の調節が可能である期待がある。また,新規抗うつ薬エスシタロプラムはセロトニントランスポーターにアロステリック作用を有しており,安全性に期待されている。
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© 2014 日本生物学的精神医学会
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