日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
脳についての研究結果を当事者や家族とこう共有する
鈴木 道雄
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 27 巻 3 号 p. 130-133

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抄録

研究者には,心から研究の発展を望んでいる当事者や家族と,研究成果を適宜共有して行くことが求められる。そのためには,時間を惜しまず,わかりやすい説明に努めることが肝要である。筆者が重要と考えていることは,①研究の目的を十分説明する,②疾患の研究全体におけるその研究の位置づけを明確にする,③専門用語の使い方に注意する,④研究結果の臨床的な意義,さらには当事者や家族の生活における意義について,誤解を生まないようにわかりやすく説明する,⑤感想や意見を傾聴し,疑問にできるだけ答える,ことなどである。筆者の経験では,家族は一般に,私たちが予想する以上に的確に内容を理解していることが多い。また,やや偏った捉え方であっても,当事者や家族の意見は重く,それによって私たちの眼が開かれることも少なくないので,研究成果を共有することは,研究者にとって非常に貴重な機会となるであろう。

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© 2016 日本生物学的精神医学会
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