児童青年精神医学とその近接領域
Online ISSN : 2424-1652
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特集 乳幼児精神医学
乳幼児の神経症
青木 豊
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2016 年 57 巻 2 号 p. 244-253

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抄録

本論の目的は,乳幼児期に「神経症」が存在しうるとすれば,どのような状態が臨床的な有用性をもって仮定できるかを探求することである。その過程で,乳幼児期の精神病理の把握の困難さを示すことも1つの目的とする。そのため,まず神経症と幼児神経症概念について振り返り,次に乳幼児期の「神経症状態」を仮定する。同状態は,精神障害とその時点および後の発達のリスク状態を含む。その成立要件は,第1により軽症病理の状態か,あるいは後の軽症の病理のリスク状態であること,第2に病因論として,心因が重要な役割を果たすこと,第3に関係性特異性があってもその状態を含んで良いことの3条件である。最後に,これら状態のより具体的な候補を挙げる。

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© 2016 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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