2016 年 57 巻 5 号 p. 730-737
本稿は, 性虐待の定義, 性虐待をめぐる多職種・多機関ネットワーク, 専門職が知っておくべき最低限の知見, そしてグローバルスタンダードとなった性虐待の多職種・多機関連携を行うためのChild Advocacy Center(CAC)モデルを検討する。介入と支援を一箇所で展開するCACが機能するには10個の認定基準があり, ①医療-福祉-司法の多職種・多機関連携(Multi-Disciplinary Team), ②文化的多様性と問題への対応力, ③司法面接, ④被害者支援とアドボケイト, ⑤全身医学的評価, ⑥メンタルヘルス支援, ⑦チーム全員での事例検討会, ⑧ケースの追跡調査, ⑨組織的な能力(研修など), ⑩子どもを最優先にした設定がある。今後日本においても性虐待をめぐるネットワークを進化させるために, 医療-福祉-司法のMDT構築を促進する仕組みが必要である。