児童青年精神医学とその近接領域
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特集 子ども虐待とケア
子ども虐待における家族支援
—治療的・教育的ケアを中心として—
犬塚 峰子
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2016 年 57 巻 5 号 p. 769-782

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抄録

虐待で分離となるのは児童相談所が扱ったケースの7%程度という現状があり, 虐待を受けた子どもたちの多くは, 家族とともに地域で暮らしている。地域で中~軽度の虐待の問題を抱える親と子どもに対する支援が始まりつつあるが, 人手や有効な支援や治療プログラムが不足している状況であり, 今後の虐待対策の課題の一つとなっている。

虐待の支援の目的は, 子どもが虐待の有害な影響から回復し, 自尊感情を獲得して健全な発達を遂げられるようにすることである。その目的に向かって, 親の虐待的な養育行動を変化させ, 家庭が子どもの心身の成長を培う土壌となるように, 家族支援が行われる。親だけでなく子どもや親子へのケアも併せて必要となることが少くない。

親の孤立を和らげ, 生活上のストレスを軽減させ, 家族のストレングスと主体性を引出す中で虐待が軽減していくが, それだけでは虐待問題が解決に向かわないことをしばしば経験する。特に被虐待歴を有している親の場合は, 適切な養育を身につけ親子関係を再構築するには治療的・教育的ケアが重要な役割を担っている。米国で有効性が実証され最近日本に導入された, 親と子どもと双方を対象としている治療プログラムAF-CBT(Alternatives for Families: A Cognitive Behavior Therapy)を紹介し, 虐待問題を抱えている家族の治療に有効と思われる構成要素(安全プラン, 心理教育, 感情調節, 思考の再構成, ペアレントトレーニング, 虐待行為の責任の明確化と謝罪など)について詳しく述べた。

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© 2016 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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