児童青年精神医学とその近接領域
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症例研究
学習障害, 注意欠如・多動性障害および母子密着を背景とした長期不登校児童への入院治療
—あすなろ学園での18カ月間の療育的かかわりと経過—
早田 聡宏東 晃子中村 みゆき中西 大介西田 寿美
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2016 年 57 巻 5 号 p. 808-828

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抄録

学習障害(LD)は学力習得の困難以外に, 学校および日常生活における自己評価の低下, 自信喪失を生じ, 不登校や社会不適応へつながる可能性も考えられる。本症例では, 小学1年の初診時, 注意欠如・多動性障害の診断とともにLDの存在が疑われた児が, 交通事故による治療中断期間を経て, 思春期の年齢において学校不適応をきたした。そして, 母子密着もあり不登校が約3年間と長期化したことを契機に当園への入院治療を導入した。

本児への18カ月間の入院治療の中で, LD診断確定とともに徐々に社会性を獲得し, 自己評価の向上もみられた。さらに, 長期不登校が改善し高校進学へとつながり, その後も順調に社会生活を送れている。入院当初の本児および両親の不安や葛藤を傾聴しながら関係を構築していくことが重要であり, 信頼関係を築けた結果, 治療の方針も定まったと考えられた。

通院や通所による支援では治療が限定されるが, スタッフとの信頼関係の下, あすなろ学園の入院プログラムに沿った学習および生活の両面を把握しながらの多職種の連携によって, より効果的な治療および家族支援ができたと考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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