児童青年精神医学とその近接領域
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特集 限局性学習症(学習障害)(Ⅰ)
総論:医療の立場から
稲垣 真澄米田 れい子
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2017 年 58 巻 2 号 p. 205-216

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抄録

限局性学習症/学習障害(learning disorder/specific learning disorder; LD)は全般的知能が正常で, 学習意欲があるにもかかわらず, 「読字」「書字」や「算数」などの特定領域の獲得が障害され, 学業, 日常生活, あるいは職場で著しい支障をきたす発達障害の一つである。中枢神経系の機能異常によるとされ, 近年脳機能画像による解析も試みられている。

本稿は, 代表的LDである「発達性読み書き障害」と, 「算数障害」について, それぞれの概念, 診断につながる臨床症状の診かた, わが国で使用可能な検査と診断手順について解説した。前者では問診におけるチェックリストの活用, ひらがな音読検査での読みの評価が, 後者では KABC-Ⅱの習得度評価が役にたつ。

的確な教育的支援のために医療サイドができることは, 言語発達に関する詳細な問診, 神経学的診察, 知能評価, 読み書き・算数の基本的能力や子どものもつ認知特性の評価を行うことであると考えた。

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© 2017 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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