児童青年精神医学とその近接領域
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特集 限局性学習症(学習障害)(Ⅰ)
LDの脳機能
関 あゆみ
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2017 年 58 巻 2 号 p. 217-226

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抄録

「限局性学習症/学習障害」は,読み・書き・計算といった基本的な学業的技能の習得に関わる認知機能の障害であり,その背景として先天的な脳機能異常が推定されている。限局性学習症・学習障害の脳機能計測として用いられる方法としては,機能的MRIやPETなどの脳機能画像検査,事象関連電位(ERP)や脳磁図(MEG)などの神経生理学検査,脳容量計測や拡散テンソル画像(DTI)を用いた構造画像検査が挙げられる。本稿ではこのうち,読字障害(発達性ディスレクシア),算数障害(計算障害)について,近年の研究を紹介する。

近年の脳機能画像研究の結果は,限局性学習症/学習障害の背景には皮質機能の特殊化の異常があることを示唆しており,発達性ディスレクシアでは左紡錘状回のVisual word form area,計算障害では両側頭頂間溝が一番の責任領域と考えられる。しかし,なぜ,皮質機能の特殊化が障害されるのか,その要因については明らかではない。今後は乳幼児期からの縦断研究やその他の画像検査や神経生理検査を組み合わせた研究が必要と考えられる。

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© 2017 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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