2015 年 17 巻 2 号 p. 73-81
手術支援ロボットda Vinciにおける手術の安全性・正確性の向上と手技習熟の効率化を目的とした, 認定資格取得後修練の現状と, 近年注目されている3Dプリンティングによる実物大臓器立体モデルおよび体腔実体モデルを用いたシミュレーションおよびトレーニングを解説した. 現在行われているda Vinciのcertificate認定後の継続的トレーニングは, おもにOJTやデュアルコンソールトレーニング, 基礎手技用トレーニングキットやドライボックス, バーチャルリアリティシミュレータ, 動物臓器などのwet tissue, 生体動物などのlive animal labo, cadaverトレーニング, 臓器や体腔などの実体モデルによるトレーニングなどが行われている. 筆者らが開発した臓器体腔実体モデルは, 患者のCT画像に基づき, 実際の手術の状態を再現するために, 体位変換や気腹状態を計算して, 臓器と体腔を実物大実体モデルに再現した. 各種臓器の解剖学的構造と立体的位置関係, 体腔内のワーキングスペースの制限を再現することで, 実際の手術手技を正確に再現し患者個別化に対応できるトレーニングとなった. 臓器モデルは生体の質感まで再現し, 出血や縫合などの手技が実際の手術同様に再現できるため, 手術シミュレーションとしても有用であり, 他のトレーニングに変わる新たな手法として期待できる.