2005 年 2005 巻 785 号 p. 785_27-785_37
本研究では斜面の地震時安定問題を対象として, 危険なすべり線の抽出並びにその確率的安定性評価について検討を行った. 危険なすべり線は2次元動的FEM解析結果に基づき遺伝的アルゴリズムを用いて探索した. その際, 安全率最小となるすべり線は入力の振幅レベルに応じて異なることから限界加速度 (すべり安全率が1.0となるときの入力地震動の振幅レベル) が最小となるすべり線を探索した. 限界状態は滑動力と抵抗力の釣り合い, あるいはすべり量から定義した. 例題モデルについて数値検討を行い, 残留強度の粘着力が危険なすべり線に大きな影響を持っていること, 限界状態の定義によって選定されるすべり線は異なるもののすべり線の違いが損傷確率に与える影響は比較的小さいこと, などを示した.