2005 年 2005 巻 785 号 p. 785_71-785_81
土構造物の設計では, 性能規定化に向けて安全率を用いた許容応力度法から荷重係数と抵抗係数を用いた限界状態設計法への移行が進められている. 本論文では設計用値のばらつきを考慮できる信頼性解析により, 壁高を変えた補強土壁構造物の長期使用限界 (常時) 状態における滑動モードと転倒モードについて検討を行った. まず, 従来用いられている安全率との整合を取りつつ目標安全性指標の設定を行った. 次に, 土の単位体積重量, 土の内部摩擦角, 補強材破断強度の平均値と変動係数を様々に変化させて, 信頼性解析からの荷重係数と抵抗係数を算定した. 解析の結果, 荷重係数と抵抗係数の平均値は破壊モードによって異なる値をとるが, 壁高や土質区分に依存せずほぼ一定の値であることが分かった.