2005 年 2005 巻 786 号 p. 786_53-786_65
国土の約70%, 総人口の約13%を占める中山間地域では, 公共交通システム (主にバス) は非常に貧弱であり, 自動車利用が支配的である. 特に, これらの地域に住む高齢者の多くが外出に同居家族の送迎に依存している. これらのことを踏まえて, 本研究では中山間地域の高齢者世帯を対象に, 送迎などの交通行動と活動に関する意思決定に存在する世帯内相互作用並びにその異質性を等弾力性社会厚生関数により理論的に表現した世帯時間配分モデルを提案した. そして, 島根県中山間地域の高齢者世帯から収集された活動日誌調査データを用いて, 提案した世帯時間配分モデルの有効性を確認するとともに, 中山間地域高齢者交通政策分析への適用可能性についてシミュレーション分析により明らかにした.