2005 年 2005 巻 787 号 p. 787_161-787_175
強震時, 杭基礎は慣性力のみならず, 地盤の強制変形により大きく損傷を受けることが既往の研究により明らかにされている. 著者はこれまで地盤変形のみによって損傷を受ける杭基礎について理論的な考察を行い, 杭先端と杭頭における曲げひずみを極大化させる杭径 (不適径) が存在することを明らかにした. 本研究では, さらに実際的な条件として, 慣性力と地盤変形を同時に受ける杭基礎を対象に, 杭に生じる曲げひずみと杭径寸法の関係について検討した. その結果, 地盤変形と慣性力が杭体に及ぼす相対的な影響度合いの違い等により, 杭頭近傍に生じる曲げひずみを極小化する最適杭径が存在し得ること, そして杭径を最適杭径に近づけることで, 杭体の損傷を大幅に低減できる可能性を示した.