2005 年 2005 巻 789 号 p. 789_37-789_46
高水敷を有する実河川では, 洪水時には下層の蛇行低水路流と上層の直線状高水敷流が混在する複雑な流れ構造がみられる. 既往研究によって, このような複断面蛇行流に関する水理特性の解明が進んでいるが, これらのほとんどが, 流れ場が十分に発達した連続蛇行流を扱っており, 直線部から蛇行部に流路遷移する複断面流の水理特性については未解明点が多い. 特に断面遷移区間では直線部で発達した水平渦の移流特性が変化して, 低水路・高水敷間の運動量交換特性に大きな影響を与えることが予想される. そこで本研究は, 断面遷移区間を対象に電磁流速計による3次元計測を行い, そこでの水理特性を考察した. さらにPIV計測によって蛇行複断面流における水平組織渦の移流・変形モデルを提案した.