2005 年 2005 巻 790 号 p. 790_11-790_23
経済のグローバル化に伴い, 貿易を通じた環境負荷の国際的相互依存関係が強まっている. 環境負荷の大きな生産活動を国外に移転して自国内での見かけ上の環境負荷を小さく抑える国がある一方, 環境負荷の大きな工業製品を生産し, これを輸出して高い経済成長を遂げる国もある. このことは, 環境保護に対する各国の「共通だが差異のある責任」を論じる上で重要である. 本論文では, エネルギーCO2及び土地を指標とし, 1985, 1990, 1995年の日本, 中国, 東南アジア諸国, 米国の貿易を通じた環境負荷の相互依存関係を定量化し, その時間的変化の要因分析を行った. この結果, 財・サービスの輸出入に伴う環境負荷のフローの大きな部分は, 米国と中国を中心に形成されていた. とりわけ, 高い経済成長とともに中国から日本, 米国等に向けたCO2フローの増大が顕著であった.