土木学会論文集
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和文論文
ヒゲナガカワトビケラ (Stenopsyche marmorata) 地域集団のRAPD解析によるダム上下流間の遺伝的分化の評価
渡辺 幸三大村 達夫
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2005 年 2005 巻 790 号 p. 790_49-790_58

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抄録

ダム湖は河川水生昆虫の幼虫のドリフトと成虫の飛行を遮断するため, ダム上下流地点間の遺伝的分化やそれに伴う各地点の遺伝的多様性の低下を引き起こす恐れがある. また, 成虫の飛行距離の観点から, 湛水面積が大きいダム湖ほど遺伝的分化が大きいことが予想される. 本研究は湛水面積が異なる6つのダム湖を対象に, ダム湖で分断された河川と隣接するコントロール河川に生息するヒゲナガカワトビケラ地域集団のRAPD解析を行った. 解析の結果, 6つのダム湖のうち, 湛水面積が3.27 km2以上の2つのダム湖において遺伝的分化が起きていることがわかった. また, 遺伝的多様性を低下させる要因として, ダムによる遺伝子流動の低下よりも, 各地点の集団サイズの低下がより強く影響していることが明らかになった.

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© 2005 公益社団法人 土木学会
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