2005 年 2005 巻 797 号 p. 797_63-797_70
本研究では, PCBのモニタリング指標生物として用いられるムラサキイガイに着目し, PCBのムラサキイガイヘの濃縮の経時的変化や貝の大きさによる変化を調査し, ムラサキイガイの成長過程でのPCB濃縮特性の把握を試みた. その結果, 成長過程によるムラサキイガイ中の総PCB濃度および濃縮係数の変化は少ないことがわかった. さらに, 海水中の懸濁性/溶解性PCBの濃縮係数がKocと一致することから, SSにはPCBが吸着した形で存在していると考えられる. また, ムラサキイガイ中/溶解性PCBの濃縮係数は7塩素化までは塩素数が増えるにつれ徐々に高くなるが, 8塩素化以上になると逆に減少することが示された. また, #141, #174, #170の異性体は周りの同族体と比べ濃縮係数が1/10程度と低いことも示された.