2005 年 2005 巻 805 号 p. 805_15-805_24
海水揚水発電は, 海域を下部調整池とすることによって, コストダウンや立地に関わる制約条件の緩和などが期待できる. 一方で, 水圧管路の海水腐食や海生生物の固着による水理機能低下が課題である. 海水揚水発電技術実証プラントでは, 岩盤埋設型水圧管路の材料として初めてFRP管を適用し, その強度特性や水理特性に着目した検証を1999年3月から2004年2月まで行った. その結果, FRP管の挙動はクリープによる影響が認められるが, 内圧の岩盤負担効果が期待できること, また海生生物の固着に伴う水頭損失は設計値を大きく下回り, 発電所の水路として将来にわたって良好な水理特性を維持できるものと判断された. これらは海水揚水商用プラントの実現に向け, 極めて有意義な情報を与えるものと考えられる.