土木學會誌 論文集
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乾燥によるコンクリートの龜裂に關する主要性質の實驗的研究 (其の一)
吉田 彌七
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1944 年 1944 巻 2 号 p. 59-90

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抄録

本論文はコンクリート及び鐵筋コンクリートの收縮龜裂に關する著者の研究の一部を爲すものにして,乾燥によるコンクリートの収縮,並に之による龜裂に密接なる關係ありと思はるゝ主要性質即ちクリープ,伸,引張強度,彈性係數等に就ての實驗的研究を記せるものである。
乾燥せる空氣中に在りては,コンクリート及び鐵筋コンクリート構造物に屡々龜裂の生ずる事は普く人の識る所である。此の龜裂の由つて來る所以は未だ充分に解明されてゐないが,併しセメント糊中に含まるゝ非結合水の逸散に基因する乾燥收縮がその主なる原因の一つであることは否み難い。乾燥せる空氣中に於けるコンクリート又は鐵筋コンクリート部材からの水分の逸散はその部材内に於て均齊に行はれない。從つて茲にコンクリート内に固有元應力を生ずる。更に不静定構造物に於ける兩端固定の部材又は鋪装等に於ては,コンクリートの収縮が全體として自由ならぎるため茲に構造物全體としての元應力が誘起される。是等二つの元應力は夫々獨立に,或は共同してコンクリートに龜裂を生ぜしめる主役を演ずるものと考へ得よう。元來,コンクリートに龜裂の生ずるのは,温度の變化,自生收縮 (autogenous shrinkage) 其の他の素因にもよることは勿論であるが,特に乾燥による水分逸散による收縮が龜裂と深い關係に在ることは否み難い事實である。
本研究の基礎を爲す實驗は著者が1935年6月より1936年12月までの1ケ年半に亙りて行つたものである。本實驗に使用せしセメントは第一編の實驗に供せるものと同様普通ボルトランドセメントにして, 骨材は最大寸法3/4in (約20mm), 粗粒率4.88なる砂及び砂利の細粗粒混合骨材である。又コンクリーとはセメントと細粗粒混合骨材との重量配合比1:6,水セメント重量比0.566,スランプ3in (約7.5cm), 標準養生せる6×12in (約15×30cm) 圓〓供試試體の材齢28日に於ける壓縮強度3750lb/in (約260kg/cm2) なるものを使用した。而して收縮及び壓縮用供試體は直徑6in (15cm), 高さ12in (30cm) の標準圓〓,また引張用供試體は直徑6in (15cm), 高さ33in (84cm) の圓〓にして,其等の供試體は型より取外したる後70°F( 21℃) にて次の4通りに分ちて夫々保存した。
材齢7日迄濕度100%の室中,其以後濕度95%の室中
材齢7日迄濕度100%の室中,其以後濕度50%の室中
材齢28日迄濕度100%の室中,其以後濕度95%の室中
材齢28日迄濕度100%の室中,其以後濕度50%の室中
本研究に於て行へる實驗の種類は次の如くである。
(1)乾燥による收縮
(2)壓縮強度及び引張強度
(3)壓縮及び引張に對する彈性係數
(4)定持續荷重の下の壓縮クリープ及び引張クリープ
(5)等變遞増荷重の下の延伸能力
結論に於ては本研究によつて明瞭にされたる事項の主なるものを記せる外,是等の事項と乾燥による收縮應力及び之に基づく龜裂との關係に就て論述した。

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