抄録
UASB装置内に嫌気性ろ床部を設けて上向流式嫌気性ハイブリッドブランケット (Upflow Anaerobic Hybrid Blanket: UAHB) リアクターを構築した. さらに, 撹拌を行わない方式を導入することによって, 装置の処理特性についての実験的研究を行った. (1) 嫌気性ろ床を設置することにより, スタートアップ段階でのグラニュール化が促進され, 同時に有機物除去率を向上させることができた. (2) 処理水還流など人為的な撹拌を行わない条件下で, 装置の高さ方向では微生物学的環境条件に応じた酸発酵性細菌, メタン発酵性細菌の棲み分けが行われた. その結果, 単一装置内で2相嫌気性消化反応の特徴を有する自己造粒型UAHB処理プロセスを構築した. また, その自己造粒汚泥の形成機構について推定した.