抄録
降雨-流出過程は, (a) 降雨量の時・空間変動, (b) 流出場の地形特性の空間変動, (c) 流出場の土壌湿潤度等の初期状態の時・空間変動, の影響を受けるため, 確率論的な取り扱いが有用である. 本研究は降雨-流出現象を確率微分方程式で記述し, 降雨と流域場の初期状態が定常状態で, 流域地形量が確率変動する場合の流出量の確率応答を調べ, 流量の平均値と分散を求める理論式を誘導した. また, 課題とされてきた分布型流出モデルの最適なサブ流域スケールを検討するため, 流出量の確率応答と流域の分割数, 或いはサブ流域のサイズとの関係について検討した.