1997 年 1997 巻 576 号 p. 11-22
現存しない新しい交通システムに対する個人の動的な交通行動特性を十分に踏まえた予測モデルの同定化には, 選好意識 (SP) パネルデータが有効である. しかしSPパネルデータには, SPデータ特有のバイアスやパネルデータ特有の消耗バイアスが含まれるので, それらを修正しなければ誤った予測結果を導くことになる. 本研究では, 広島新交通システムを分析対象としたSPパネルデータを用いて, それらのバイアスを修正し, 交通機関選択モデルの予測精度の向上を図ることを目的とする. 予測精度の検証方法としては, 推定したモデルパラメータを事後データに適用して得られる予測分担率と実際の分担率を比較することにより行う. その結果, これらのバイアスを修正することにより, 予測分担率が実際の分担率に近づくことがわかった.