抄録
本研究は公共投資の景気対策としての有効性を, 主に生産誘発効果の観点から検討することを目的としている. この検討においてはまず, 18種類の公共事業 (建設事業) の生産誘発効果を, 昭和40年から平成2年の6時点について計測し, 公共事業の景気対策としての効果の経年推移を事業種ごとに把握するとともに, 各時点の公共事業の事業種内訳を考慮して, 公共投資全体の生産誘発の効率性の変遷を明らかにする. またこれに続いて, 生産誘発効果の経年変化の要因を, 投資に伴う最終需要の生成効率, 国際貿易の変化, 生産波及の効率性の観点から検討し, 生産誘発効果の経年変化の要因構成を明らかにする.