1998 年 1998 巻 594 号 p. 73-83
森林植生の特性が森林流出水に及ぼす影響を調べるため, 人為的影響の少ない水道水源の水質分析を行った. その結果から森林流出水の水質は概して良好であり, 広葉樹林面積率・針葉樹林面積率と流出水のTOC, COD濃度との間には相関が得られ, 森林植生による森林流出水質への影響が認められた. また, 河川上流域の植生・土地利用状況が水源涵養機能および水質に及ぼす影響を明らかにするため, 河川上流域の植生・土地利用形態と渇水年・豊水年の水文・水質データの解析を行った. その結果から広葉樹林の保水機能が発達し, 面積率の高い方が低水流出率が大きい傾向があり, 針葉樹林の方が水の蒸発散量が大きく, 渇水年では気温による年平均流出率への影響が大きいことがわかった.