1998 年 1998 巻 600 号 p. 37-50
急勾配砂利河道区間の下流に緩勾配砂河道区間が接続する日本の沖積河川を対象に, ダム貯水池堆積土砂量とこの1万年間に堆積した沖積層の土質別体積を分析することにより, 砂利, 砂, シルト・粘土別の沖積河川への土砂供給量を把握し, これと現河道の砂利・砂区間それぞれの土砂流送量との関係を明らかにした. この結果と沖積平野・河川の形成を支配した境界条件を考慮して, この1万年間の沖積平野・河川の形成を概念モデル実験と河床変動計算により再現し, 沖積河道縦断形の形成機憐を土砂の縦断的分級機構とともに明らかにした. さらに, 縦断形変化を支配する各因子とその影響度を定量的に表示した. 以上に基づき, 水系環境変化に伴う沖積河道縦断形の変化予測の基本的枠組みの1つとして,「有効粒径集団」の考え方を提示した.