2000 年 2000 巻 657 号 p. 65-73
利根川河口域の利根かもめ大橋の建設地で行った現地調査に基づき, 絶滅危惧種ヒヌマイトトンボの生息環境の調査および開発の影響の予測・評価法として, 地形測量, 幼虫のコードラート調査, 塩分濃度・水位の測定を併用する手法を提案した. 生息地のヨシ原の塩分濃度をモニタリングは, 生息地の水環境の変化を事前に検知するのに簡便で容易な方法であることを確認した. また, 幼虫の分布のメッシュ図を作成し, 開発の影響の予測・評価を行う方法を提案した. また, ヒヌマイトトンボ幼虫は汽水域のヨシ原で後背地から真水が供給される場所に限られ, しかも, 干潮時には水溜まりが残る窪地に局在して生息することが明らかとなった.