抄録
本研究の目的は, 地震に伴う災害リスク評価に基づく斜面補強を戦略的に立案する方法を提案するものである. 具体的な事例としては, 全国主要都市での高速道路に近接する斜面を対象とし, 各地域での地震動特性および, 各高速道路の利用状況に応じた被害推定に基づき, コスト次元でのリスク評価を実施した. そして, その算定されたリスクに基づく費用便益解析により, 同じ形状の斜面であっても, その補強対策は地震動の地域性および各道路での損害の大きさの相違によって異なることが定量的に表現可能となることを示した. これらの結果より, 本研究で提案する手法は, 合理的に斜面の補強策を立案する上で極めて有効であることを示した.