2003 年 2003 巻 743 号 p. 59-76
本研究では, 材料不安定による不連続せん断帯分岐モードの発生と, それに起因する不連続変位場の進展の有限変形有限要素解析を行った. 不連続変形の運動学とその発生条件について述べた上で, 有限変形境界値問題と有限要素法の定式化を行った. 不連続変位を非適合な拡張自由度として導入する手法を用いて, 有限要素法で不連続変位場の進展を運動学的に考慮に入れた. 一様な応力・変形場における不連続面の発生条件を調べ, 関連流れ則に従うひずみ硬化型材料でもせん断帯が発生しうることを確認した. また, 供試体のせん断帯進展解析を行った. 不連続変位場を導入した有限要素法による解析結果と, ひずみ軟化型モデルを導入した変位法有限要素法による解析結果との比較を行い, 局所化解析における不連続場の運動学的考慮の重要性を示した.