抄録
近年, 自然環境の保全・創出のためのプロジェクトが増加している. ダム貯水池の水位管理における弾力的運用もその一つの試みである. ダムの放流によってダム下流のアーマ・コート化や富栄養化を抑制し, 環境の改善を図ることが期待できるが, その効果を定量的に捉えることはこれまで難しかった.
本研究では, ダムの放流の効果を定量的に把握する方法の一つとして付着藻類のより定量的かつ面的な調査法について検討した. その結果, 付着藻類の変化を定量的に捉えるには超低空リモートセンシングで撮影した近赤外画像を用いたクロロフィル量調査が有効であることを示した. また, 三春ダムでは, 放流量100m3/secの方が2m3/secの方よりも付着藻類の剥離は2倍以上の量になることが定量的に示された.