抄録
阪神・淡路大震災の経験を踏まえ, 防災水利が満たすべき性能確保のため, 地域に根ざした断水することのない自然水利を, 非常時の「防災の水」として, また日常時は「環境の水」として再生・整備することを目指す,「環境防災水利」の実現が求められている. 本論文は, これまで各地で実施されてきた自然水利を活用した防災水利整備事例の中から, 水利種別毎に代表的整備事例の事業過程を明らかにする一方で, 我が国を代表する木造文化都市・京都市で策定された「環境防災水利」構想の理念をもとに評価項目を導出し, 各事例の整備内容の評価を行った. これらを踏まえ, あるべき「環境防災水利」の整備に向けた事業推進手法の指針について提案を行うものである.