抄録
本研究では, PFI建設プロジェクトの総合的なリスク評価を行うため, 操業段階で想定される長期市場リスクおよび需要変動リスク等と同等に, トンネルおよび地下空洞を構築する地下工事を対象とし, 地盤リスク要因に起因する建設コスト変動特性を総合的に評価する手法を提案する. 具体的には, 操業段階のリスク評価が, 平均変動量周りの変動特性を表わす指標 (以下ボラティリティと称す) により実施されることから, 筆者らがこれまでに提案してきた, 地盤統計学を用いたリスク評価手法に加えて, 新たに金融工学分野で用いられるリスクカーブの概念を用い, 地盤条件に起因する建設コストのボラティリティを評価する手法を示す, さらに, 実際の建設プロジェクトを対象としたボラティリティの算定結果を示す.