抄録
本論文では剛塑性体の強度分布最適化問題を極限解析の立場から議論する.ここでいう強度分布最適化問題とは,所定の外荷重の下で構造物の塑性安定性を確保しつつ,構造物の強度分布を変化させ,コスト関数を強度分布に関して最小化する問題である.この最適化問題を記述するため,極限解析の静力学的な制約条件とコスト関数を組み合わせたラグランジュ関数を提案した.また,ラグランジュ双対理論により,その双対性と相補性条件を導出した.さらに主双対内点法に基づく数値解析法として,l2型障壁罰金関数を導入し,シフト付KKT条件を利用した定式化を具体的に示した.最後に,提案した数値解析法の有効性を確認するために,片持ちばりの強度分布最適化問題とc, φ=0材料のパンチングに関する強度分布最適化問題を取り上げ,その妥当性を確認した.