2006 年 62 巻 4 号 p. 782-793
本論文では,多重分岐点の分岐解析に適した修正剛性法を提案する.一般に,分岐経路探査に必要な分岐解の方向は,ゼロ固有値の固有ベクトルを基に推定されるが,分岐点の多重度が大きい場合,複数の固有ベクトルを基に分岐解の方向を推定することは困難である.この問題を解決するために,系の対称性の破壊を意図して,接線剛性行列のいくつかの行と列を修正する修正剛性法が提案された.修正剛性法によれば,多重固有値の分離が行えるが,分岐解の方向の推定には問題があった.本論文では,修正剛性法による接線剛性行列の修正の方法に改良を加えることにより,分岐解の方向が推定可能となることを示す.さらに,本手法により軸対称性を有するトラスドームおよび空間対称性を有するハニカム構造の分岐解析を行い,本手法の妥当性と実用性を示す.