2020 年 76 巻 1 号 p. 138-153
本稿は,平成18年7月に鹿児島県川内川流域を襲った災害に対する激特事業のうち,曽木の滝分水路の整備に関して,景観的な視点からの検討プロセスとその結果,および事業後の取り組みについて報告する.当整備の主な特徴は,激特事業に景観検討を導入したこと,検討方法に対する様々な工夫によって効率的で高質な検討が行えたこと,密なコミュニケーションによって多くの施工上の工夫を引き出せたこと,それらの結果として類を見ない空間を実現できたこと,加えて事業後にもその思想が継承されたことである.最後には当事業の成果を,市民,技術者,施工者との3つの協働として整理している.