2022 年 78 巻 1 号 p. 1-17
都市の中小河川において,市民協働により河道内の自然再生を行うことは,河川環境・景観を改善させ,市民の川づくりへの関与を高める上で重要である.実施に際しては,多様な市民の合意形成,アイディア集約と,科学的な河川デザインが両立した計画・施工が求められる.横浜市帷子川での市民との石組み水制づくりの検討と市民普請のプロセスの分析を通して,協働型の河道内自然再生の方法について考察することを本研究の目的とする.施工一年後に,瀬の形成,流れの明瞭化,水制の主要構造の残存,土砂堆積が確認された.結果を踏まえ,a.合意形成プロセス:経験に基づいた学習コミュニティへの変換,b.計画プロセス:応答的プロセスマネジメント,c.河川の営力を踏まえた河川環境デザイン手法,d.市民が川づくりに関与するための技術について考察した.