2022 年 78 巻 1 号 p. 18-30
本研究では,区立では都内初の人工海浜となる“大森ふるさとの浜辺公園”を対象に,都市型人工海浜の整備プロセスと開業後の利用特性について明らかにした.その結果,都市型人工海浜整備に向けた示唆として,[1] 整備期間は区立ゆえに国や都との調整で概ね10年が必要とされること,[2] 整備費用は区の独自財源を不要にできたこと,[3] 計画初期段階では地域住民に寄り添った行政対応が重要であること,[4] 海浜整備段階では,工事中であっても地域住民の関心を保つための工夫が重要であること,[5] 海浜地の維持・運営に関する継続性や発展性として,背後に隣接する複数の商店会による組織構築が重要な役割を担っていること,以上5項目とともに,「地縁性」「多様性」「市街地近接性」など5つの利用特性を導いた.